UnderBridge@ディベートブログ

英語ディベートに関するブログです。初級者向け資料、大会感想、etc… 暇潰し程度にご覧下さい。

【論題分析】HPDU中学生大会2020

こんばんは。つい最近までガムシロとミルクの容器の端が折れることを知らなかったUnderBridgeです。

これまで、必死に開け口のところの蓋を容器から剥がすように開けてきたので、3倍くらい人生苦労していたかもしれません()(伝わりますかね…?)

 

 

さて、本日、HPDU中学生大会が開催され、弊校からも2チーム参加させて頂きました。

僕のほかにもう1人ジャッジ参加もさせて頂き、弊部としては大変貴重な経験になりました。

改めまして、運営にあたってくださった皆さん、ありがとうございました!

 

タイトルにある通り、(自称)最速でこの大会で出された論題について分析してみようと思います。復習などに役立ててもらえればと思います。

但し、僕の言っていることが100%合っているとは限らないので、あくまで批判的にご覧になって下さい。

 

 

では、早速行きましょう!

 

【論題雑感】

Round1,2:この大会には丁度良いくらいかと思いました。標準よりはレベルは高いですが。

Round3:昨年もやや類似した論題(THBT new movies, or new TV shows which contain smoking scenes should be banned.)が出ましたが、難しいです…ジャッジするのも大変でした。

Round4:日本のことですし、比較的Illustration とかはしやすかったのかなぁ、と思います。日本を訪れる難民の実情について知っていないと厳しい面はあると思いますが。

 

 

【Round 1】難易度:★★☆☆☆

THBT teachers should be punished for bullying in their classrooms.(本院は、学級内でのいじめについて、教師が罰せられるべきだと信じる。)

 

punishは…1回で減給、2回で停職、3回やったら解雇、みたいな感じで定義すれば、Opp.の「新任教師が1回見過ごしただけで終わりはかわいそう!」みたいなArgumentに対応できると思います。まあ、ここは本質的な話ではないですが。

 

Clash(対立軸)は2つ作れると思います。

1つは実際にbullyingが減るのか、もう1つはteacherという存在は罰するのに適当なのか、です。bullyingが悪い、それを減らすべき、というのはConsensus(共通認識)になると思うので。

前者について、

Gov.側は現状、いじめに対処するIncentive(動機)が足りていないと言った話でしょうか。うやむやにしても、謝罪一つでなんとかなってしまっており、自殺とかにまで直結するものでない限りは罰せられない(弊部の部員から、荒んだ小学校の話とか聞かされました…)ので、実際は深刻なものでも看過されてしまっているといった感じですかね。

Opp.側は現状でも教育委員会や保護者の目によって、いじめに対処が行われているかは十分チェックされており、Incentiveは足りているが、教員が忙しすぎる(e.g. 部活、教育委員会への報告)のが問題であり、punishしたところで何も変わらず、不当に罰せられるだけ、みたいな話ですかね。(教員になってみないと実際は分からないですが…)

 

上記の点も大事ですが、"THBT X should ~" という論題である以上、「Xが~する線引き」の議論に踏み込んでほしいという思いがあるので、後者についても説明します。

Gov.側であれば、Classroom内(学校内)でのいじめが起きないように注意する責任がある、なぜならば子どもを預かるということには学校がstudentsのsafetyを守る責任が伴う…のでしょう。少なくとも、Classroom内というとは目の届く範囲ですし、免許を取ったということは、生徒の様子を見る能力を認められているということだと思うので。

Opp.側であれば、責任はteacherに必ずしもあるわけではない、いじめに気付けないのはそもそも忙しすぎる学校業務だ!という風に言えると思います。また、どんなにteacherが止めようとしても、理解してもらえないケース(e.g. 家庭環境の悪さ)において、責任があるのはteacherではなくparentだ、人格形成は友達とかでなく、幼少期を一緒に長く過ごしたparentに依存する部分が大きい、というように言え…そうです。

 

いずれにしても、いわゆる「現状分析」として、何が原因でいじめが起こっているのか(教員の怠慢なのか、子どもの生育環境なのか、etc.)、という分析は欠かせないものかと思います。

 


【Round 2】難易度:★★★☆☆

THBT parents should have full access to their children’s social media.(本院は、子供のSNSに親が完全にアクセスできるようにすべきだと信じる。)

 

身近な話題だと思うので、話しやすいのではないか、という気はしました。

これ関連でいくと、最も印象に残っているのはこの座間の話です。SNSを巧妙に使った手口でした。

www.tokyo-np.co.jp

 

のっけからGov.寄りですが、これが"full access"を与える理由になるかどうかは、また別の話です。

結論から言ってしまえば、1つはDanger protectionとRight of privacyの対立になると思います。「事件に巻き込まれそう」「全部見られるのは怖い」というのは、SNSを使ったことがある人ならなんとなく感じることではないでしょうか。(ちなみにTwitter社の定義によるとTwitterSNSじゃないらしいです。そんな訳ないですよね())

おそらく、0か100かの議論にはならない(=片方の事象は完全に問題ない!と言い切るのは無理)なので、相手の言うharmをconcedeした上で、どちらの方が大事かを示す、というのは重要な戦術になると思います。

 

まず、Dangerについてですが、

先にOpp.側から行くと、フィルタリング(SNS会社のもの、携帯端末のものなど)によって最小限化されており、害はほとんどない、even if親にfull access与えても、親の方がSNS疎いのでは?効果ないのでは?みたいなことは言えそうです。

Gov.側は子供はimmature(未熟)だから「この人がオススメしてるサイト面白そう!」「この人お金くれそうだから会おう!」と思ってしまう、そこは人生経験のある親が介入してやるべき、ということが言えそうです。上にあげた座間の例とかはDMだったのでフィルタリングには引っかからず、他にも手口が巧妙化していて不十分だよね…という内容だったり、一回でも個人情報(自撮り絵、住所)が流出したら何に使われるか終わり、取り返しのつかない事態になるよね…といった内容も言えると思います。

 

次に、Privacyについてですが、

Gov.側は親はそこまで制限しないのではないか?という話は言えそうです(反証もできますが)。親といえども、一定程度プライバシーは尊重するのではないか…?という希望的観測です。

Opp.側は子供の興味、幸福追求権を奪うのは何人たりとも許されない!全ての人間に与えられた権利!みたいな話かと思います。同じ趣味の人とつながる(ディベートなんてまさにそうですが)という話とかもいいかもです。

 

もう1つ、Round 1と同じく"THBT X should ~" という論題である以上、「Xが~する線引き」の議論に踏み込んでほしいですね。

Gov.であれば親の監督義務(民法820条)があり(この前提として、親が有効的に監視できるという説明は必要ですが)、プラットフォーム内で起こる話に関しても監督責任が生じる、という話ですかね。

Opp.であれば、親は子供がアカウント作る時点でconsentをしており、何をしているか把握すべきという義務は既に果たしている、一方でプラットフォーム内で起こる事件はプラットフォーマーの保護義務が働くべきところであり、親は関係ない!といった話はできると思います。(Irrelevantと捉えられる可能性があるので、相手への応答として示すなど、示し方には注意が必要かと思います)

 

やっぱり実際にやってみるのが一番…ではないです。Twitterはただの時間を餌に成長する青い鳥なのでやめましょう。でも一度始めるとやめられないんですよね(只のaddiction)

 

 

 


【Round 3】難易度:★★★★☆

THW ban films and music which show socially undesirable conducts as good (e.g. drug abuse, racism).(本院は、社会的に望ましくない行為(麻薬、人種差別など)を良しとする映画や音楽を禁止する。)

 

さあ、そろそろ記憶を薄れてきましたが、書けますかね()

冒頭に記載したように、昨年も類似した論題が出たので、そのときの記録も参照しつつ書いていきます。

 

ざっくりと言ってしまえば、Freedom of expression(表現の自由)がどこまで認められるべきか、という対立軸になるかと思います。

細かく言うと、filmやmusic, artなど、本来表現の自由度が高いものです。それらを"ban"するということは、社会に対して大きな影響があるなど、よほどの理由がない限り行われないことです。あったとしてもRegulation(規制、R18指定など)が関の山ですから。

 

これを踏まえて進めていきます。今回「socially undesirable conducts "as good"」という指定があるため、ここまで細かく分析する必要があります。(例として示されている麻薬、人種差別を踏まえると、タバコまで入れていいのかはよく分からないですが、入るという前提で進めさせていただきます)

先にOpp.側から行きます。古い映画を見ればタバコを吸うシーンなどは多く描かれていると思いますし、それらはいわゆる「カッコいい」行為として描かれています。しかし、これを見たからといって、皆がタバコを吸い始めるでしょうか?直感的には違う、と分かると思います。

では、なぜでしょうか?当然、私たちは教育の中で「タバコは体に悪い!」と散々教わってきていますし、場合によっては周りの人からもそれを言われたりします。映画の中で、「マリファナ最高だぜ!」と主人公が言っているシーンがあったとしても、大抵に人はそれがやってはいけない行為と認識できます。それは当然、多くの場合で(例外もあるとは思いますが、ここでは割愛します)製作者の側も同じでしょう。「マリファナは最高!」という社会を風刺し、価値あるものを生み出そうとしている…はずです。

もしくは、もっと単純に表現したいものすれば?他人に危害は加わらないでしょ?(他人に害がなければ、個人の行動を自由にして良いとする「危害原則(harm-principle)」)という考えに基づいて論を展開することもできそうです。

Gov.側は反対に「影響がある!」と主張する立場です。…結構具体化するのが難しい気もしますが、「タバコかっこいい!」というイメージを刷り込まれていると、大人になってからついやってしまうのかもしれませんね。もしくは、よくあるお酒のCMのような感覚で「こんな風に爽快になりたい!」…みたいに思うなど。全て想像の範疇ですが…

こういうイメージが蔓延することで、このような行為を是とする風潮が生まれる…とまで言えると強そうですね。

Gov.側だけふわっとしててすみません…。タブ見る限り、Gov.で勝ったチームが多そうだったので、中学生の皆さんはできていたんでしょう…

 

「ドラッグ良い!」という風刺をしながら、「ドラッグヤバいよね」というメッセージを届けようとする映画はどっちなんでしょうか…深淵にはまりそうです。 

細かい事例について掲載しているものではないですが、概説として読んでみるといいかもしれません。

www.latimes.com

 

 


【Round 4】難易度:★★★☆☆

TH, as Japan, would accept all refugees.(日本政府は、全ての難民を受け入れる。)

 

なんとなくは知っている方が多いと思いますが、まず、日本の難民受け入れの現状を見てみましょう。

現状の受け入れ数は非常に少なくなっています(以下の記事参照)。2018年は42名のみです。

www.refugee.or.jp

近年、積極的に難民受け入れを行っているドイツでは、色々な問題が起きていたりするようです…どうしてもお金はかかってしまいますから。

gendainoriron.jp

 

「受け入れれば、その国から見返りがもらえるかも!」のような国際関係に関する議論に発展させることもできるかと思いますが、いかんせん知識不足なのでここでは割愛させて下さい。

 

Gov.側としては「先進国の責任」のようなことは話せるかと思います。先進国の発展に伴って、代理戦争の形で発展途上国では紛争が絶えず、難民が発生している…のような形で、日本という先進国にも、難民を多く受け入れる責任がある、という風に持っていけると思います。

Opp.側としては、国内ですら大幅な財政赤字なのだから、受け入れる余裕はない、といった話でしょうか。仮に受け入れたとしても、難民に十分な生活をさせるお金はあるのか!といった流れですかね。

 

最近話題になっている「移民」と、今回触れられている「難民」の違い日本という国の特徴などを洗い出してみると良いかもしれませんね。色んな種類のArgumentを立てられると思います。

 

 

 

 

ということで以上になります。中学生にはハイレベル過ぎでは…?と思うような論題もありますが、ぜひ何らかの形で復習をしてもらえればと思います(関連するニュース、本を読むなど)。折角の休校期間中ですし。

 

コメント等あれば遠慮なくどうぞ!